Matching field effect of the vortices in GdBa2Cu3O7−δ thin film with gold nanorods

T. Horide, et.al., Supercond. Sci. Technol, 20,303-306, (2007)

この研究が行われた目的・検証しようとしている仮説

マッチング磁場付近では量子化磁束が変則的な挙動を示す。しかし、REBCO薄膜においてその挙動の詳しい詳細は明らかになっていない。 そのため本論文ではAuを添加したGdBCO薄膜を作製し、マッチング磁場付近における量子化磁束の形態を調査した。

仮説の検証方法

・単結晶MgO(100)を用いて230 nmのAu添加GdBCO薄膜を作製した
・基板温度は700℃、酸素分圧は400 mTorrとした
Auは2×25 mmの泊を修飾ターゲットとして用いた
・レーザー繰り返し周波数は10 Hzとした

得られた結果・考察

●Fig. 1に断面TEM像が図示されている
直径が20-35 nm、長さが20-230 nmのAuが添加されていることが確認された

●Fig. 2に表面SEM像が図示されている
・薄膜表面に島状のAuが確認された
・その島状のAuの密度は216 /um2であった
・Auの平均直径は34 nm, 平均間隔は68 nmであった
・1つの島状のAuが1つのナノロッドに対応していると仮定すると、マッチング磁場は0.43 Tであった。

●Fig. 3(a)にJc-B曲線が図示されている(θ = 0, 30, 60, 90°で行った)
77 K自己磁場下のJcは0.9 MA/cm2であった
・高Jcが得られなかった理由としてAuの添加により電流輸送断面積が減少したためであると考えられる。
θ = 0°において、0.4 T付近においてプラトーな領域が確認された

●Fig. 3(b)に77 K, 0.3, 1 TにおけるJc-θ曲線が図示されている
・両方の磁場共に、θ = 0°付近で高Jcが得られた。
Auがc軸方向のピン留め点として作用した可能性がある。

●Fig. 4(b)に10 – 77 Kにおける0 Tで規格化した二重対数グラフが図示されている
・10, 30 Kにおいてプラトーな領域が確認された
・10, 30 Kの低磁場において、プラトーな領域が確認されているので、α = 0 (single vortex pinning領域)となる
・10 Kの0.5 – 9 Tにおいては、α = 0.54(plastic pinning 領域)となる
・10 Kの0.1 – 1 Tにおいては、プラトー領域から外れて、マッチング磁場付近でsingle vortex pinningからplastic pinningへ変化したことが示唆された

●Fig. 5(a)にJc(Bsv) / Jc(0T) = 0.9で定義されるBsvの温度依存性が図示されている ・理論的に、Bsvは温度に依存するパラメーターで低温ではマッチング磁場Bφと等しい
・10 KにおけるBsv = 0.4はマッチング磁場と等しい値を有する
Bsvは温度の増加に伴い減少する。
・50 – 82 Kの温度帯において、single vortex pinningからplastic pinningへの移り変わりは確認できなかった。
・様々な分析により、B = 0.43 Tにおけるピークはナノロッド化したAuによる磁束ピンニングであることが分かった。
・77 Kの0.02 – 0.4 Tにおいて、α = 0.15となりα < 0.5以下なので、この磁場領域においてAuナノロッドによってピン留めされていることが示唆された

●Fig. 5(b)に0 – 2T、θ = 0°における不可逆磁場の温度依存性が図示されている
・鮮明なキンクが0.4 T付近で観測された。これはマッチング磁場に相当している
・高温領域においていは、量子化磁束の形態はボーズ-グラス転移であると説明することが可能