Critical temperature of LaBa2Cu3Oy thin films by vapor–liquid–solid growth technique improved by the composition ratio in liquid phase

S. Funaki, et. al., Physica C, 468, 1575, (2008)

この研究が行われた目的

Ichinoらの研究によってVLS成長法を用いて作製されたLaBCOのTcが48.9 Kから71.5 Kへ向上したが、NdBCOの単結晶のTcと比較して低い結果となっている。Tcが低い要因として、液相安定性、酸素欠損及びLa/Ba置換が挙げられる

その要因においてVLS成長法における液相組成はRE/Ba置換に関連しているため、液相組成のBa / Cu比を制御することで高Tcを得られる可能性がある。本研究ではVLS成長法を用いたLaBCOのTc向上を目的としている。

検証しようとしている仮説

様々なBa/Cu液相組成を用いることで、RE/Ba置換を抑制し、Tc向上が図られるかを検証しようとしている。

仮説の検証方法

液相組成として、Ba : Cu = 3 : 5及び3 : 7の組成を用いてLaBCO薄膜を作製し、結晶配向性、表面形態及びTcの測定を行った。

得られた結果・考察

Fig. 1に液相組成を変化させた時の結晶配向性の変化が示されている。液相を用いていないPLD法と比較して結晶配向性は向上したが、液相組成比の変化による大幅な結晶配向性向上は見られていない。

Fig. 2に液相組成を変化させた場合の斜方性の変化が示されている。一般的に斜方性の度合いはLa/Ba置換が減少するほど増加する傾向がある。PLD法と比較してVLS成長の場合は斜方性が増加することが確認された。また3 : 5の液相組成より3 : 7の液相組成が更に斜方性が増加している。

Fig. 3にPLD法及びVLS成長法で作製されたLaBCO薄膜の表面SEM像が示されている。VLS成長法を用いて作製された薄膜は300 nm程度の非常に広いステップ幅を有していることが確認された。

Fig. 4にPLD法及びVLS成長法で作製されたLaBCOのRT曲線が図示されている。VLS成長法を用いることで、Tconsetは向上した(液相組成が3 : 5が最大のTc)が、TczeroはPLD法とほぼ同様な値となった。スピノーダル分解が発生し、部分的にLa/Ba置換が発生したと考えられる。スピノーダル分解といった相分離は、アニール時に大きな半径を持つREイオンを有するREBCOで発生する。そのためアニール温度を変化させることでスピノーダル分解を抑制させることが可能である。

Fig. 5にアニール温度を変化させた時の斜方性の度合いとTconsetが示されている。アニール温度を600℃にすることで、Tconsetが86.2 Kへ向上し、相分離が抑制されたことが確認された。しかし、Tczeroは向上しなかった。これはVLS成長で用いられる液相が薄膜全体を覆うことができず、一部分でPLD成長したことが考えられる。