Fabrication of Nd1-xCaxBa2Cu3O7-y(x = 0-0.3) single crystalline films by tri-phase epitaxy

R. Takahashi, et. al., J. Cryst. Growth, 262, 308, (2004)

この研究が行われた目的

NdBCOにCaをドープすることにより、Cu – O面にホールを導入しクラック発生を抑制することを目的としている。

TPE法は単結晶に匹敵する薄膜の作製が可能となった[1]。しかし、STO単結晶基板上に作製されたNdBCO薄膜は熱膨張係数の違いにより、ポストアニール時の冷却の際、[100]面や[010]面にクラックが生じることが確認されている[2]。

一方PLD法等ではこのようなクラックは確認されていない。それは粒界や欠陥が多く、酸素拡散が促進され格子収縮によって引き起こされる応力が緩和されているためである。そのため、本実験ではTPE法における酸素拡散の促進を目的として、Caを添加したNbBCO薄膜を作製した。

検証しようとしている仮説

これまでにYBCOにCaをドープすることによりクラックが無い薄膜の作製に成功している。そのため、本実験ではTPE法を用いてCaをドープしたNdBCO薄膜を作製し酸素拡散が促進するか検証を行った。

仮説の検証方法

固相反応法を用いてNd1-xCaxBa2Cu3O7-yを作製した。Caのドープ量xx = 0, 0.1, 0.2, 0.3と変化させている

その他の作製方法は以前の論文と同様である[1]。

得られた結果

Fig. 2 (a)にCaのドープ量x = 0.3の場合のXRD強度比、(b)にはブロモメタノール 0.1%を用いてエッチングしたXRD強度比が図示されている。Fig. 2 (a)においては、NdBCOに加えて、Ba – Cu – O系やCa – Cu – O系の回折ピークが観察されている。またFig. 2 (b)においては、ブロモメタノールで液相残渣がエッチングされることにより、Ba – Cu – O系のピークが消失している。

Fig. 3 (a)に低倍率SEM像, (b)に高倍率SEM像が図示されている。(a)のSEM像における”A”はBa-rich組成、(b)のSEM像における”B”はCa-rich組成となっており、XRDパターンと一致している。

Fig. 3 (c)にはTPE法で作製されたAFM像が図示されている。1.2 nmのステップが確認され、液相を介することで熱平衡に近い状態で成膜されたことが示唆されている。

得られた結果に対する解釈

TPE法とPLD法の表面SEM像を比較するとTPE法がCa-Cu-O系の沈殿物が多数確認された。これはTPE法が結晶配向性が高いためにCaが薄膜内に十分に導入されなかったことが示唆されている。

TPE法で作製された薄膜の臨界温度Tcは55 K程度となり、PLD法で作製された場合(Tc = 80 K)と比較して低下した。

Caドープによりクラック発生は抑制されたが、ポストアニールによる酸素拡散が十分に行われず、低い超伝導特性が得られた結果となっている。